第6話 瞬刃の孤狼


『さぁレディ、私にご命令を。』

 落ち着いた声で眼前の「狼」が語りかける。言われた当の本人、斎賀 纏(さいが まつり)は困惑していた。突然自分から仲間の持っていたコマンダーを奪い、散々追いかけっこをさせた挙句、見た事もない化物に襲われて終いには英語を喋る目の前の狼である。普通の人間ならとっくにパニックに陥っていると言うのに、気を確かに持っているという時点で不思議なくらいだ。

「め、命令って…………。」

 掠れた声で纏が言う。すると狼は首を縦に振った。

『いかにも。貴女の持つヴァリアブルコマンダーが、私の隊長であることの証。さ、』

 ご命令を、という前に纏がヴァリアブルコマンダーをつきつけ遮った。

「あのコレ、私のじゃないんだけど。」

『……………は?』

 突然、間の抜けた声を出す狼。それを見た纏は続けた。

「だから、私のじゃないんだってば。コレは仲間のなの!多分あなたが言ってるのは翔君のね。」

『ツバサ・・・クン?』

「そう。その子があなたの正真正銘の」

 隊長よ、と言おうとしたその矢先、纏と狼の頭上を何かが覆い隠した。

『!!しまった!』

 そう言って纏を突き飛ばす狼。そのままの勢いで彼も転がった直後、今までいた場所に巨大なトゲ付きの玉が落ちてきた。

ズウゥゥゥンッ!!

「あ、あっぶなー・・・・・。」

『レディ。大丈夫ですか!?』

 狼が問い掛けると纏は頷いた。

『詳しい話は後で伺います。まずは・・・』

「コレを何とかしないと、ね・・・。」

 そう言って今攻撃してきた相手を見上げる。例えるならばウッドゴーレムだろうか?全身が木で構成された、20m程もあるいびつな巨人が、何事か唸りながらトゲ付きハンマーとなった右腕を振り上げた。そして第3撃が来るかと思いきや、その動作でそのまま止まってしまった。

「・・・ガス欠?」

 すっとぼけた呟きを漏らす纏。すると狼が巨人の更に上空に何かがいることに気づいた。

『ん?あ、あれは!』

 それを見て驚愕の声を漏らす狼。纏もつられてそれを見た。

「な、何で人間が空飛んでるのよ!」

 こちらも目を丸くしている。彼女らが見上げている所にいるのは、邪星帝国ギルナーグの女幹部、レザードだ。青く長い髪をたなびかせ、腕を組んでゆっくりと腕を振り上げたままの巨人の肩に降りてきた。

「フン・・・チョコマカと鬱陶しいねぇ・・・。」

 見下ろしながら言う。すると狼が見上げたままで厳しい声をあげた。

『貴様は・・・ギルナーグ一味の「呪瘴魔のレザード」だな?』

 傍から聞いていると、それはキュルキュルとビデオの早回しのような声だったのだが、何故か纏にはそれを理解することができた。
実はヴァリアブルコマンダーには、自動言語翻訳機能があるのだが、その事を知るのはしばらく後の事である。

「ギルナーグですって?」

 素っ頓狂な声を上げて纏が狼を見る。すると問われたレザードが少し驚いた顔をした。

「へぇ。アタシの事を知ってるなんて・・・。お前、何者だい?」

『私は宇宙警備連邦・第0特殊機甲部隊のシャドーファング。大方この星のコスモエナジーが狙いなのだろうが、そうはさせん!』

 そう言って吼える狼―シャドーファング。だがその台詞をレザードは一笑した。

「ハン!そんな格好で何するつもりだい?見れば武装はおろか、このリィギオンともマトモに戦えそうにないじゃないか。笑わせるんじゃないよ!」

「ぁう・・・・・確かに・・・」

 纏がうめいてファングを見る。すると彼は言った。

『出来るかどうかは・・・・その身で確かめるといい。』

 その言葉にレザードが嘲笑を返した。

「面白い。なら、やってみなっ!!」

 レザードが指をパチンッ、と鳴らすと、突然動きの止まっていたリィギオンの腕が振り下ろされた。しかも今までの無造作な動作とは違い、完全に勢いの乗った一撃である。

『レディ、右へっ!!』

 ファングが叫ぶ。すると運動オンチはどこへやら。反射的に纏は横へと動いていた。

3度、衝撃が大地を揺るがす。

「さ、私の背に乗ってください。」

 纏の元へと駆け寄ってきたファングが乗るように促す。頷いて彼女はファングの背に跨った。

「なんか・・・こんなのどっかであったわね〜・・・・。」

 苦笑して纏が呟く。それはファングには聞こえていなかったようだ。

「・・・・で、正味な話どうするの?アナタじゃとても敵いそうにな」

 いわよ、という前に、ファングが動いた。それは予備動作を行わず、一瞬でまた横に飛ぶ。すると更に一撃、頭上から振り下ろされた。

『喋らないで下さい。舌を噛みますよ!』

「・・・・っつ〜・・・い、痛ひ・・・・」

 言うのが遅い。思いっきり舌を噛んでしまったようだ。

「つ、つひはまへもっへいっへ(次は前もって言って)・・・・」

『申し訳ありません・・・・っと!!』

 思わず纏は日本語で言うが、やりとりは通じていた。その間も、次から次へとリィギオンの拳が振り下ろされてくる。そしてその向こうでは、他のリィギオンが黙々と水を吸い取っているのが見て取れた。

『まずいですね・・・』

 ぼそっとファングが呟く。すると上空からこの光景を眺めていたレザードが舌打ちした。

「なんだい、威勢がいいのは最初だけかい。口ほどにも無いねえ。」

 そう言うと、また自分の髪の毛を数本引き抜いた。そしてまた周囲の木々に投げて刺す。

「リィギオン!もうソイツは放っておきな。お前は戻って作業を進めろ!」

 言って指をパチンと鳴らす。するとその命令に従い動きを止めたリィギオンは踵を返し、彼女の髪の毛を突き立てられた木々は、小型のリィギオンを生み出した。

「お前はそいつとでも遊んでな!」

 新たに生み出されたリィギオン達が、纏とファングの前を遮った。

(く・・・まだ来ないのか・・・?)

 胸中で、ファングがうめいた。





 話は少し前、纏がファングを追っていた時に遡る。

「・・・・で、コイツはだな。この狼型だけが有人機で、他のはそれの命令で動くんだ。」

 得意げに自宅地下に作られたラボで、家主である巨躯の老人―ハーゲン・リヒト―は目の前の少年―神埼 翔(かんざき つばさ)―に説明をしていた。

「へぇ〜。それじゃそれぞれに乗らなくていいんだね。」

 感心した声で翔が応じる。先ほどから彼は熱心にハーゲンの話に耳を傾けていた。

「おうよ!もともとコイツらは災害救助を目的として作られたからな。人が入れないような場所はコイツらの仕事ってこった。」

「災害救助用?」

 おうむ返しに翔が問う。すると彼の横にいた老人、纏の祖父である斎賀 弦十郎(さいが げんじゅうろう)が答えた。

「そうじゃよ。もともとそっちの鷲型は航空救助、獅子はガレキ排除等、市街地での救助、そして有人機は森林など、遮蔽物が多いところでの救助を目的とした高感度センサーが備わっておる。」

「けど、俺らのダチが宇宙から侵略者が来ると警告してから、コイツらは対侵略者用として再設計されたんだ。」

 弦十郎の台詞に続けてハーゲンが言う。すると翔は目を丸くした。

「警告、って・・・ハカセ達はギルナーグの事知ってたの!?」

「いや、彼奴らの事は知らなかった。しかし実際、以前から地球は侵略者に狙われていたんじゃ。もっとも、この事は公にはされておらん。なら何でわしらが知っているかというと、その警告を発した友人というのが、現にその侵略者と遭遇してるんじゃよ。」

「・・・・・・・・。」

 絶句する翔。更に弦十郎は続ける。

「その友人はのぅ、燃えさかる炎のような『勇者』と一緒じゃったと言うとった。ゼクサーとは違うようじゃがの。」

「そ、そうだったんだ〜。」

 と、その時だ。ラボの向こうから急いでこちらに駆けてくる足音が2つあった。

「ん・・・?どうしたシュバルツ。それに譲ちゃんまで。何息切らして走ってんだ?」

 2つの足音の主は、ハーゲンの孫であるシュバルツ・リヒトと、翔達と一緒にやってきた少女、羽賀 麗佳(はが れいか)であった。

「た、大変なんです!纏さんが・・・・」

 息を切らせてシュバルツが言う。すると孫娘の名を聞いた弦十郎の顔色が変わった。

「纏に何かあったのか?」

 すると息を整えているシュバルツの代わりに麗佳が言った。

「纏さんが、纏さんが魔の森って所に入って行っちゃったの!」

「何だとぉっ!?シュバルツ、テメェどういうこった!!」

 今度はハーゲンがシュバルツの元へつめよる。ようやく息を整えた彼は、事の顛末を話した。

「・・・・・何てこった。」

 そう呟いて天を仰ぐハーゲン。弦十郎も若干ではあるが顔が青ざめていた。

「申し訳ありません。僕がついていながら・・・・。」

「いや、君の所為ではあるまいよ。しかし、困ったことになったのう・・・・。」

 自責の念にかられるシュバルツに声をかけた後、弦十郎は呟いた。

「・・・・・ねぇ。アレ、使えないかな?」

 今話を聞いてからずっと黙っていた翔が、何か思いついたように鋼鉄の獣たちを指差した。

「あれって、もとは災害救助用なんでしょ?だったら森の中に入って、纏さんを捜せないかな?」

 それを聞いた瞬間、ハーゲンが怒鳴り声にも似た声で言った。

「・・・でかしたボウズ!そうだ。コイツがあったんだ!」

「偉いぞ翔君。よく思いついたのぅ。」

 老人2人の賛同する声に、シュバルツと麗佳は取り残されていた。

「メタニマルを動かすって・・・まだ完成はしていないはずでは?」

 シュバルツの問いに、ハーゲンは答えた。

「まぁ、完成してないっても武装まわりだけだ。人一人捜すだけなら問題は無ぇ。」

「なら早速行こうよ!」

 翔が言う。と、その時だ。

ピーッ、ピーッ・・・・・

「あれ、ゼクサーかな?」

 翔のポケットから、ヴァリアブルコマンダーのブザーが鳴った。彼がそれを取り出すと、いつぞやのようにコマンダーが淡い光を放っていた。翔が黙り込んでそれを見つめることしばし・・・・

「・・・・うん、そうか。わかったよ!」

「翔君、わかったって何が?」

 不思議そうに見つめていた麗佳が聞く。

「コレを使えば、纏さんの居場所がわかると思う。何か、そんな気がするんだ。」

「気がするって、また随分頼りねぇな。」

 ハーゲンが翔の頭に手を置く。

「いえ。今はどんな事でもいいから情報は必要です。翔君。僕と一緒に行きましょう!」

 シュバルツがコートを脱いで翔に話しかけた。そして手際よくメタニマルの前にあるコンソールパネルを操作して、狼型の固定具を解除する。そしてそれは、頭部が上に開き膠着姿勢になった。

「これは2人まで乗れるんです。テストで何度か乗っているので操縦は僕がします。君は方向を指示してください。」

「うん、わかったよ!」

 言って後部座席に翔が乗り込む。それを手伝ってから、シュバルツも乗り込んだ。

「翔君、シュバルツさん!気をつけてね。」

 麗佳が2人に声援を送った。

「ねーちゃんを捜したら、さっさと戻ってこいよ!俺ぁハラが減ったぞ!」

 ハーゲンがそう言ってコンソールを叩き、2人を乗せた狼は発進用デッキへと運ばれていった。雄雄しい雄叫びを残して・・・・。





『くっ、数が多いですね・・・・。』

 小型になったとはいえ、周囲を囲むくらいの数がいるリィギオン・ソルジャーを相手に、ファングと纏は追い詰められていた。まだ何か攻撃をしてくるわけではないが、確実に仕留めるためにジリ、ジリと包囲の輪を狭めてくる。

「ど、どうしよう・・・・」

 ファングから降り、オロオロと周囲を見回す纏に、冷静にファングが話しかけた。

『落ち着いてくださいレディ。大丈夫、必ず私が何とかします。ですから決して取り乱すことの無いように。』

「そ、そんな事言ったって・・・・って、来たっ!!」

 纏が叫ぶ瞬間、痺れを切らしたのか、一匹のリィギオンがファングめがけて飛びかかった。

『ムッ・・・ちぃっ!!』

 言うが早いか、ファングが突き出した前脚の爪が伸び、それを一刀両断にする。が、しかし―――

「うそっ!再生した!?」

 両断された傷口から瞬時に触手のようなものが伸び、それが絡まってもとの姿に戻る。するとまた、包囲の中の一体となり、近づいてきた。

『これは厄介ですね・・・・。今の私はエネルギー体である本体を、惑星の生物に似せただけです。この星で戦うのに適した姿ではありません。だから、全力が出せない・・・・』

「そんな!」

 纏が大声を上げる。

『ですがご安心を。例え私の命に変えても、貴女は守ります。無関係な貴女を巻き込んでしまった、せめてもの償いです。』

「ファング・・・・・。」

『フッ・・・何故でしょうね。貴女には初めて会った気がしない。先ほど貴女は、私に本当の主がいると仰いましたが、貴女しか私の主人は考えられません。』

「そんな・・・・」

 今度の纏の呟きは、さきほどとは意味合いが違っていた。屈みこんでファングの首に手を回す。

「ダメよ。私の為に死ぬなんて、そんなの絶対ダメ!そんなの・・・・・」

『主の為に命を投げ出すは騎士としての誉れ。それに貴女には仲間や家族がいる。死なせるわけにはいきません。』

「なら・・・・」

 喉の奥から無理やり声を出す。何時の間にか纏は涙を流していた。

「なら・・・・貴方も仲間よ。私の大切な仲間。だからお願い。死ぬなんて言わないで。生きてここから帰りましょう。私が主だって言うんなら、これは・・・・命令よ。」

「レディ・・・・・」

「そろそろ3文芝居は終わりかい?」

 不意に頭上からレザードの酷薄な声が投げかけられる。纏がキッと上空を睨んだ。

「負けない。私達は絶対に負けないわよ!!」

「そうかいそうかい。なら・・・・さっさと死んじまいなぁっ!!」

 合図を送る指を鳴らそうとしたとき、「それ」は突然現れた。

ウオオオォォォォォォォォォンッ!!!

 何か生物でないものの雄叫びが周囲に響き渡った。そして何かが上から飛び降りてくる。

ズゥゥゥンッ!

「纏さん!」

「纏さん!ご無事ですか!?」

「翔君!それにシュバルツさん!!」

 空から降りてきたもの、それは纏を捜しにきていた翔とシュバルツを乗せたメタニマルだった。





「な、何だいコイツは!?」

 突然眼前に現れた鋼鉄の狼を見て、今度はレザードが驚愕した。それは纏も同様だった。涙をゴシゴシ拭いて、まじまじと見上げる。

「・・・・・・・何かアニメでこんなの見た事あるような・・・」

 思いっきり的外れな感想を漏らす。するとそこから、翔とシュバルツが飛び降りて駆け寄ってきた。

「纏さん、無事だったんだね!」

「お怪我は無いですか?」

 喜ぶ翔と心配するシュバルツ。纏は苦笑して答えた。

「ええ。何とかなったわ。・・・・まぁ、この状況はいただけないけど・・・・。」

 そう言って周囲を見ると、一時的な衝撃から立ち直ったリィギオン・ソルジャーが、またジリジリ近づいてきた。

「な、何なのコレ!」

 その醜悪さに嫌悪する翔。シュバルツも同様だった。

『これはギルナーグの一人、呪瘴魔のレザードが生み出した「バストドール」です。』

 今まで黙っていたファングが口を開く。それは日本語だった。

「アンタ・・・日本語喋れるんじゃない・・・。」

 思わず纏がツッコむ。するとファングは冷静に

『いえ。これは先ほどからのあなた方の発音パターンを解析して、今覚えました。』

 などと言ってのける。

「纏さん・・・何でこの犬喋ってるの?」

 呆けた表情で翔が聞く。

『これは挨拶が遅れました。私、宇宙警備連邦、第0特殊機甲部隊所属のシャドーファングと申します。貴方がツバサ様ですね。以後、お見知りおきを。』

「宇宙警備連邦、と言うことは・・・ゼクサーの仲間なの!?」

 3度翔が驚く。そしてさらに何かを言いかけた翔を、ファングが遮った。

『そろそろゆっくり話してる時間は終わりのようですね。そして貴方がたは丁度いいものを持ってきてくれた。この場を早いところ切り抜けましょう!』

 そう言ってシャドーファングが長い遠吠えをすると、それに反応するかのように翔のヴァリアブルコマンダーが輝いた。

『さぁ、私の名を!』

「う・・・うん!ブレイブ・エンター、シャドーファングッ!!」

 そう叫んで翔がヴァリアブルコマンダーをかざすと、周囲を紫色の光が包み込み・・・・

『融合っ!!』

 本来のエネルギー体の姿に戻ったファングが、狼型のメタニマルへと吸い込まれていった。そして

 ウォォォォォン!!

 無機的な遠吠えをして、機体を淡い紫色に塗り替えた新たなる戦士が誕生した。

(凄い・・・・これほどまでに馴染むとは・・・)

 独白してから、ファングがリィギオン・ソルジャーを睨む。

『皆さんは私の後ろに下がってください!』

 そう言って大きく口を開いた。

『ハウリング・ヴォイスッ!!』

 そう叫ぶとファングの口から超振動波が発生して、周囲のリィギオン・ソルジャーを飲み込む。その途端

『ギイィィィッ!!』

 という断末魔の叫びを残して、数体の範囲を逃れたソルジャーを残して皆砕け散った。

『再生するというのならば、再生できないくらいまで砕いてしまえばいい。』

「すっごーい!やるじゃないのファング!」

『恐縮です。』

 賛辞の声に礼を述べるファング。そして残った数体のリィギオン・ソルジャーへと歩み寄る。

「ちっ、それがお前の本当の力か・・・・。」

 歯噛みするレザード。先ほどまで雑魚と思って甘く見ていたのが、認識を改めなければいけないようだ。

「仕方ないねぇ。もう遊びはお終い。本気でいくよ!」

 再び指を鳴らす。その命令に従ったリィギオンが一箇所に集まった。そして

「あっ!合体した!?」

 翔が声を上げる。集まったリィギオン・ソルジャーが融合し、新たなる一体の大型リィギオンになったのだ。

『ム、ならば!』

 ファングが反動をつけてジャンプする。すると彼の身体が変形を開始した。

 曲がっていた四肢が真っ直ぐに伸びる。

 前脚の爪が回転し、中から人の拳が出てくる。

 腰から下が90゚曲がり、胸となった狼の頭部の後ろから人の顔をした頭が飛び出す。

『チェンジ・シャドーファングッ!!』

 忍者を思わせるようなスマートな体型をしたロボットにその姿を変える。

「わぉ。カッコイイじゃない!」

 目を輝かせて纏が言う。フ、と軽く笑って纏を一瞥すると、ファングは一足飛びで一気にリィギオンとの間合いを詰めた。

『ファングクロー!』

 前腕の爪が回転して鈎爪状の武器になる。リィギオンはカウンターを合わせるように拳を突き出すが―

『遅いっ!!』

 その拳をかいくぐり、両腕を縦横に走らせる。それだけでリィギオンの身体は寸断された。更に変形してハウリングヴォイスを至近から浴びせると、それは2度と動くことがなかった。

「な・・・早いっ!!」

『さて、次は貴様達だ。』

 レザードを睨み据えながらファングが言う。一歩をジリッと踏み出した、その時!

オォォォォォォン!!

 湖の水を吸い取っていたリィギオンが一斉に雄叫びを上げた。

「フ、フフ・・・・間に合ったねぇ!」

 それを見てレザードが喜ぶ。封印を司っていた湖の水が枯渇したのだ。それは即ちフフィールドの消失を意味する。

『しまった!コスモエナジーの防護フィールドが!!』

 ファングが叫ぶ。それに真っ先に翔が反応した。

「コスモエナジーだって!?」

『はい。ここはこの星のコスモエナジーを開放することができる・・・・ブレイクポイントなのです。私はこの地に降りたときにその事に気づき、ずっと監視をしていたのですが・・・・・。』

「ハーッハッハッハ!時間稼ぎは成功したみたいだ。アッハッハ!!」

 したり顔でレザードが笑い声を上げる。

「開放されるって・・・そしたらこの星はどうなるのですか!?」

 詳細を知らないシュバルツが聞く。

『ブレイクポイントは一つだけではありません。ですからここが開放されたからとはいえ、今すぐにこの惑星が崩壊するわけではありませんが・・・・。』

「他のブレイクポイントも開放されたら、この星は消滅するわ・・・・。」

 ファングの続きを纏が紡ぐ。するとその時湖の中央、朽ち果てた巨木の根元からまばゆい光が溢れ出した。そしてそれは全てを飲み込んでいった・・・・。





『・・・・・・?』

『どうしたゼクサー?』

 日本の斎賀邸にある研究所の格納庫で、真紅の車が何かに反応していた。

『誰かが私を呼んでいる・・・・。』

『はぁ?誰かって誰だよ?』

 ゼクサーの横にいた青いスポーツカー、マッハガンナーが言った。

『わからない。だが、私は行かなくては・・・・・』

 夢遊病者のような呟きをして、ゼクサーは人型に変形した。

『お、おいゼクサー!!』

 マッハガンナーも慌てて変形する。一緒にいたドリルタンク―グランガンナー―と

武装トレーラーの姿をしているビッグガンナーもそれぞれロボット形態に変形した。

『ゼクサー、おい、しっかりするんだ!』

 ビッグガンナーがゼクサーの肩を掴む。がしかし、その手は虚しく宙を切った。

『ゼクサーの身体が・・・』

『透けてるであります!!』

 驚きの声を上げるグランガンナー。そうしている内にもどんどんゼクサーの身体は透けていった。

『誰だ・・・?私を呼ぶのは・・・・』

 その呟きを残して、ゼクサーの身体は完全に消え去った。

『ゼクサー・・・・。』

 あまりにも突然の出来事に、ガンナーズは呆然と立ち尽くしているしか無かった。そして彼らはゼクサーのサポートメカであるバンガードファルコンも一緒に消えたことに気が付いていなかった・・・・。





「・・・・・!!」

 眩い光が晴れた後、ゆっくりと目を開けた翔は、そこに驚くべきものを発見した。柱だ。それも、圧倒的な光量をもった光の柱が、湖の中央から天に向かってそびえ立っていた。

「あれが・・・コスモエナジー・・・・・」

 呆然と纏が呟く。光の柱を見据えたままファングは説明した。

『そうです。あれがコスモエナジーの奔流、「エナジー・ポール」です。もしあの中に入れば、圧倒的なエネルギーの前に、原子すらも消滅してしまいます。ですが、あれは何かが、違う・・・・。』

「違う?違うとはどういうことですか?」

 すっかり魅入られていたシュバルツが問う。

『私が見たことのあるエナジー・ポールは、全て例外なく淡い桃色をしていました。ですがあれの色は淡い緑色。むしろエナジー・ポールと言うよりは我々が使う空間跳躍(リープ・ジャンプ)のゲートに酷似しているような・・・・・。』

ドコォォォン!!

そう言った瞬間、突然エナジー・ポールを囲んでいた巨大リィギオンの内、一番翔達に近い位置にいた一体が爆発炎上した。

「な、何事だい!?」

 これに驚いたのはレザードだ。何の前触れも無く手駒の一体が倒された。

「な、一体どうしたの!?」

 レザードと同じような反応をしたのは纏だった。そして

「ヴァリアブルコマンダーが光ってる・・・この反応って・・・。」

 翔が自分の持っていたコマンダーを見て何かに気づく。そしてまだ燃え盛る炎の向こうを見ると、そこから剣を一振りして足にしまう真紅のロボット、ゼクサーが現れた。

「そんな・・・ゼクサー!?」

 信じられないといった面持ちで翔がゼクサーに問い掛ける。するとそれを耳にしたゼクサーが翔を見た。

『ツバサ・・・? ・・・!?ハッ!私は一体・・・それにここは・・?』

 どこか夢を見ているような表情だったゼクサーが、翔の顔を見た途端に我を取り戻した。

『確か私は誰かに呼ばれたような気がして・・・・・そして・・・』

「ゼクサー危ない!後ろっ!!」

 ゼクサーの思考は翔の声によってムリヤリ中断された。他のリィギオンがゼクサーに攻撃を始めたのだ。

『ム!?おっと!』

 頭上からの一撃を横っ飛びにかわす。そして脚からゼクサーマグナムを抜き構えるが、今度は左から別の一体が襲ってきた。腕を伸ばし、触手のようなものを伸ばしてくる。

『しまっ・・・・!』

ガスッ!!

『相変わらず注意力が散漫ですね、ゼクサー。』

『その声・・・シャドーファングか!?』

 間一髪、ゼクサーとリィギオンの間に割り込んだファングが触手を切り裂く。

『良かった。君が無事でいてくれて・・・・。』

 そう言ってゼクサーはファングに手を伸ばすが、彼はそれを無視した。

『今はそんな悠長なことをしている場合ですか?連中を蹴散らしてから話すべきでしょう。』

『シャドーファング・・・・・』

 遠目からその光景を見ていた纏が呟いた。

「な、な〜んか険悪な雰囲気ね・・・・」

 どちらかと言えば、ファングが一方的にゼクサーを見下し気味に見えた。

『そうだな・・・まずは目の前の敵、だな・・・・。』

 武器をゼクスラッシャーに変形させてゼクサーとファングが背中合わせの形になる。

残る巨大リィギオンは・・・6体。6対2の戦力差はどう考えても不利である。

(ちぃっ、せめて・・・・・合体さえ出来れば・・・!)

 内心ゼクサーは歯噛みしていた。今の自分にこれだけの戦力を相手に出来る技量は無い。ファングもそれは変わらないだろう。例え自分より優れているとしても。

 と、その時だ。またも翔のヴァリアブルコマンダーが光りだした。翔だけではない。纏の持っている、麗佳のヴァリアブルコマンダーも光りだしたのだ。さらに共鳴するように、エナジー・ポールまで輝きだした。

「ええぃ、今度は何だい!?」

 イライラした表情を見せるレザード。先程の突然ゼクサーが現れたことといい、このエナジー・ポールの光り方といい、この星のコスモエナジーは何かがおかしい。と、思ったその時――――

シュパァァァァァッ・・・・

 と言う音と共に、エナジー・ポールの中から現れたものは・・・

「ば、バンガードファルコン!?」

 翔が叫ぶ。そう、あの見覚えのある大型戦闘機は紛れも無くバンガードファルコンだった。さらに

キィィィッ!!

ガォォォン!!

 と言う、2種類の雄叫びを上げて、鋼鉄の獅子と鷲が飛び出してきた。

「な、あれはメタニマル!」

 今度はシュバルツが叫ぶ。それは自分も開発に携り、飽きるほど見てきた2匹だった。

『やはり・・・これはゲートだったのか・・・・。しかし何故だ。こんな手の込んだことをする星は今までに例が無い・・・・。』

 それを見たファングは確信した。これはコスモエナジーではない。同時にレザードもその事実に気が付いていた。

「クソッ!ダミーだってのかい!?あれだけ期待をもたせておいてとんだ見当違いだ!もういいリィギオン!そいつらもろともここを消し飛ばしちまいなっ!!」

 指を鳴らすと、レザードは虚空へと消え去った。

『よし、バンガードファルコンがあるなら・・・・ツバサッ!!』

 ゼクサーが主の名を呼ぶ。そして翔がヴァリアブルコマンダーを構えた。

「うん!ブレイブ・エンター、烈空合体!!」

『バンガードファルコンッ!!』

 ゼクサーがバンガードファルコンを呼ぶ。そしてゼクサーの方へと向かってきた。それを見たゼクサーが今度はクリスタルから光を伸ばし、翔を彼の中にとりこむ。そして向かって来ていたバンガードファルコンの背へと飛び乗り、さらに上空へと上昇した。

バンガードファルコン後部が後方へ180度回転し、それは脚部になる。

全体が垂直に起きると、胸にあたるプレートが下に降り、内部の空間へと落下してきたゼクサーが身体を変形させて収まる。

プレートが元に戻ると、頭部にある、がらんどうのヘルメットの中にゼクサーに似た人型のフェイスが現れた。

フェイスを覆うようにマスクが装着され、両目に光が灯った。

『フォームアップ!!』

胸の前で炎が収束し、その炎の殻を破るようにして鳥の頭部が現れた。その鳥が一声鳴く。背中のウィングが3分の2程から上下に別れ、X字状に展開した!

『烈空合体!ゼクシイイィィドッ!!!』

 ガッツポーズにも似た構えを取り、紅く巨大な戦士が――――吼えた。

『合体した・・・・・!?』

 これにはファングも驚いた。まさかゼクサーが合体するとは思ってもいなかった。そしてゼクシードへの合体が終わると同時に、今度はエナジー・ポールから放たれた2本の淡いピンク色をした光が、ファングと纏を貫いた。

「きゃぁっ!!」

 悲鳴を残して、彼女の意識はブラックアウトした。


どこからだろう、声が―――聞こえる。

『――――い。お目覚めなさい。』

ん・・・・ここは・・・?

『私の声が聞こえますか?』

 聞こえる。貴方は誰?ファングは何処に行ったの?

『あなたの仲間なら大丈夫です。』

 そっか・・・で、私は死んだわけ?

『違います。一時的に意識を失っているだけです。』

 あ、生きてるんだ。で、何でこんな事になってるの?

『あなたに力を授けるためです。』

 力を授ける?何か、神様みたいな事・・・・。

『もう時間がありません。あなたは力を欲しますか?』

 藪から棒ねー・・・・。力か。確かに欲しいけど、それが誰かを悲しませるためのものだったらいらないわ。守るための力なら欲しいけどね―――――


「纏さん、纏さん!」

 シュバルツが駆け寄って、纏を抱きかかえる。

「ん・・・シュバルツさん・・・・!ファングはどうなったの!?」

 夢うつつだった纏がガバッ!と身を起こす。

「纏さんと同じように倒れてしまいましたが、翔君が頑張っていますよ。ホラ、また倒した。」

 指差した先では、ゼクシードがバーストブラスターでリィギオンを燃やしていた。残りは4体に減っている。そしてその傍らでは、今ファングが身を起こしていた。

「それより纏さん。その左手にあるものは一体・・・?」

「ほぇ?手?」

 そう言って自分の左腕を見ると、そこには大型の手甲があった。纏の細腕にはどこか合っていない。

「それに、あのエナジー・ポールとか言うのも急に消えてしまったんです。それと何か関係が?」

 だが既に、纏の耳にはシュバルツの声は届いていなかった。

「これが・・・・力?」

 呟くと、その手甲から何か言葉が流れ込んできた。

「私も・・・戦えってことか。」

「纏さん?先程から何を一人で・・・」

 シュバルツの問いを無視して、何かを決めたような顔をして纏が立ち上がる。

「ファング!こっちも合体よ!」

 左手の手甲を抑えながら相棒に声をかける。すると向こうも大きく頷いた。

『了解しました、レディ!!』

 目覚めし騎士の、誕生の瞬間だった。



 纏が手甲の上部を引くと、ジャキン!と言う音がして、無骨な形だった手甲が展開して狼の意匠を象った形状に変形する。そしてファングがサポートメカの名を呼んだ。

『ビートイーグル!』

 キィィッ!と鳴いて、鷲型メタニマルの鉛色だった機体色が鮮やかな青になる。

『スラッシュレオン!』

 ガオォォン!と吼え、獅子型メタニマルの鉛色だった機体色が黄色を基調とした色に塗り替えられた。

「ブレイブ・エンター、獣咬合体!!」

 纏が開放のキーワードを唱えると、手甲から光が伸び、ビートイーグルとスラッシュレオン、それにファングを照らした。



 スラッシュレオンが、頭、前脚、胴体・尾の4つに分離する。

 ファングは肩の装甲の中に腕を収納しつま先が真っ直ぐ下に伸びる。

 スラッシュレオンの胴体が脚に変形し、ファングがそれを履くようなかたちで合体する。

 前脚が折りたたまれるとそれは肩になり、縦長なファングの肩に合体する。

 ビートイーグルの脚部が胴体から分離すると、胴体は首を後に収納した。

 そして胴部はそのままファングの背中に、脚部は腕として肩に合体すると、鷲のつま先が開き、中から拳が現れた。

 胸の狼の口が開くとそこから光が伸びて、纏が中に取り込まれる。

『フォーム・アップ!!』

 羽を意匠としたヘッドギアを被り、マスクが顔を覆う。

 スラッシュレオンの尾と頭部が接続され、杖のようになった物を掴んだ。

『獣咬合体!ファングレイヤーッ!!』


 背中の翼をはためかせ、巨大な騎士が誕生した。


『レオンランサーッ!!』

 ファングレイヤーが手の杖を一振りすると、獅子の口から穂先の尖った槍の先端が現れる。

〈よしファング!さっさと終わらせて帰るわよ!〉

 ファングレイヤーの中で纏が言う。ファングレイヤーは無言で体勢を低くした。

〈GO!〉

『はぁぁぁぁっ!!』

 目にも止まらぬスピードでファングレイヤーが加速する。そして手近にいたリィギオンは何もすることが出来ずに胴体を貫かれた。

〈再生するヒマは与えないっ!〉

『ハウリング・ヴォイス!!』

 合体前よりも威力の増したハウリングヴォイスによって、跡形もなく消される。

〈わぁ・・・早い!〉

 ゼクシードの中で翔が感嘆した。ゼクシードが翔に声をかける。

『こちらも負けてはいられないぞツバサ!』

〈わかってるよゼクサー。ツインキャリバーだ!〉

『了解!』

 両腕側面から剣の柄が現れ、ツインキャリバーを引き抜くと、ゼクシードも突進した。リィギオンの伸ばしてくる触手を回避し、そのままの勢いで炎を纏った剣を十字に振りぬく!

『バーニング・クロス!』

 炎の剣によって十字に斬られたリィギオンは、そのままメラメラと音を立てて燃えていった。

〈よし!これで残りはあの2体だけよ!〉

 そう纏が言った直後、残っていたリィギオンが縦に並びお互いに触手を伸ばし融合を始めた。するとゼクシード達と同じくらいだった大きさが、3倍近い巨躯になる。

〈今更大きくなったところで!〉

 纏が吼える

『大きくなった分、的が当てやすいですよ!』

 ファングレイヤーがレオンランサーに力を込める。

〈ゼクサー!これで決めるよ!〉

『了解!いくぞツバサ!』

 ゼクシードがツインキャリバーの柄頭を合わせる。

『サークリングヒィィィトォッ!!』

 ツインキャリバーを身体の前で高速回転させると、その回転に合わせる様にして炎の環(わ)が出来上がる。その炎を合体リィギオンに向かって投じた。それがリィギオンを包むと爆発を起こし、空へと舞い上げた。

〈ファング!こっちもいくわよ!〉

『了解しました。レディ!』

 レオンランサーを振り回し、胸の前で構えると、刃先を光が包み込み、一回り大きな刃を生み出した。そして地面を蹴ると、スレスレの位置で高速飛翔する。

『エクステンドザンバーッ!!』
 
ツインキャリバーを合体させた巨大剣を構え、ゼクシードが空へと大きくジャンプする。眼下ではファングレイヤーが敵に肉薄していた。

〈切り裂け!!ひぃぃぃっさぁつっ!!〉

『レイジング・ザッパァァァァッ!!』

 股間から頭頂まで、光の槍が一息に両断する。余りにも鋭利な切り口のため、リィギオンの身体はずれるようにして離れていった。そして上空から、炎を纏った大剣が振り下ろされる!

〈これで・・・終わりだぁっ!〉

『ヴォルカニック・エンドォォッ!!』

 袈裟斬りに両断され、4つに分かたれたリィギオンは、無言のままに爆砕した。

ドゴォォォォン!!

『『ミッション・オーバー』』

 ゼクシードとファングレイヤー、2機の声が唱和した。





「え?それじゃ僕を呼んだのはファングだったの?」

 ハーゲン邸の地下のラボで詳細を聞いていた翔は、何故纏の居場所が判ったのかを、そして事の経緯を聞いていた。

『ええ。流石に一時はどうなるかと思いましたが、連絡が間に合ってよかった。』

 今やエネルギー体ではなく、鋼鉄の狼となったファングがメンテを受けながらいけしゃあしゃあと答えた。

「何よ・・・助け呼んでるなら最初から言いなさいよ・・・・。」

 ファングの傍らにいた纏が疲れた表情をして文句を言った。そしてファングにしか聞こえないような小さな声でぼそっと呟く。

「もう、私の涙、返してよね・・・・」

『は、あれは・・・申し訳ありません・・・・。』

 その一言で完全にファングは萎縮してしまった。するとプ、と吹いて纏が大笑いする。声を聞いていなかった一同は何があったのかと不思議な顔をした。

「さて、今日はもう遅いし、明日はどうするかのぅ?」

 弦十郎が今後についての提案をする。まだイギリスに着たばかりだと言うのに、今日と言う一日は長すぎた。

「明日は僕が皆さんをいい所へ案内しますよ。」

 笑顔でシュバルツが言う。

「よーし、明日はイギリス観光よ!」

 喜色満面で麗佳が言うと、纏と翔も頷いた。

「ただし、イギリスのメシは不味いから覚悟しとけよ!」

 ハーゲンのその一言で、翔を除く2名はガクッ、と肩を落とすのだった・・・・。



 数日の滞在の後、留学生と言う名目で同行したシュバルツと共に、一行は日本への帰路へとついた。この先にとんでもない運命が待ち受けているとも知らずに・・・・。



次回予告へ


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                             あ と が き

作者(以下作):お待たせしまくりました!ゼクシード6話「瞬刃の孤狼」をお送りします。

EX麗佳(以下EX麗):出すのがおっそーい!そして私の出番が少なーい!

作:出てきた第一声がそれかオイ・・・

EX麗:だってだって!何でこのスーパーウルトラ(以下長いので略)ヒロインの私の活躍が無いのよ!メッセンジャーやってそれで終わり?

作:うん。

EX麗:ひっどーいっ!それにこの名前の「EX」って何よEXって!

作:最近、ココで出てくるお前のキャラと本編のキャラがどんどん変わっていくんでな、

某所のように「壊れキャラ」って事でエクストリームのEXを・・・・

EX麗:えい(ズゴン!)

作:どわぁっ!いきなりハンマー振り下ろすな!

EX麗:(涼しい顔で)で、次回が一応のひと区切りなんでしょ?

作:いきなり話題変えたな・・・・。んまぁ、そのつもりだ。まずは第一部来訪編・完ってとこだな。

EX麗:それで第2部開始が一年くらい開いたりして(ぼそ)

作:ゲフゥッ!(吐血)

EX麗:あ、死んだ・・・・



                                              2002年9月9日

                                               動輪&EX麗佳